スポーツニッポン
元社会派ディレクター堂本暁子さん、社会党から出馬
1989年7月1日


「本当に豊かな生活を」今夏の参院選挙に日本社会党・護憲共同で比例代表区から立候補する堂本暁子さん(57)はほんの数週間前まで、東京放送(TBS)で6年間「報道特集」を担当していだバリバリのテレビディレクタ-だ。

「私の信念としては、このまま、ジャーナリストとして通したかったんですけど、今という時期、今という時をおいてはない。志を立てるのはこの時を逃したらないと思ったんです」

昭和34年、東京女子大学を卒業後、TBSに入社。「婦人ニュース」のキャスターをふり出しにテレビジャーナリズムの世界へ飛び込む。55年から一年間“ベビーホテルキャンペーン”に携わった。働く母親がふえる一方、国公立の十分な保育施設、福祉が対応しきれず、幼い子供がないがしろにされる現実をテレビカメラを通じて切々と訴え続けた。

「許せなかったんですね。日本の子供たちの危機的な状況だったんです。一方では経済成長、その片方ではぜんぜん国民の生活が豊かになっていないなんて……」この堂本さんの願いにも似た訴えは画面を通じて大きな反響を呼んだ。そしで翌年の児童福祉法改正のきっかけとなる衝撃的な報道となったのだ。

ジャーナリストとしての鋭い目を持つ堂本さん。消費税の衆院での強行採決も、国会の記者席からその瞬間を目撃。「あれは審議したなんていえませんよ。数で押しきっただけ。すぺての国民にかかわる問題をあんな形で決めるなんて。白紙にすべきです」と憤りをあらわにする。

さらにリクルート、宇野首相の女性問題など永年培った報道人としての公正な精神で次々に切り捨てる。

「今の政治は、カジとりがいない状態。本当の生活の豊かさとふだん着のままの風通しのいい政治を目指します」と堂本さんは話す。その笑顔からは政治家に必要なやわらかな感性と確かな視点がひしひしと伝わって来た。