日本経済新聞
「D-Dライン」動き活発
土井社民党党首/堂本さきがけ議員団座長
1997年10月


政治倫理/環境問題 自民悩ます

政治倫理問題や環境問題などの課題をめぐり、社民党の土井たか子党首と新党さきがけの堂本暁子議員団座長の与党の女性党首の連係プレーが目立っている。

佐藤孝行氏の総務庁長官就任に世論の批判が高まった9月15日。
土井氏「ウチは党として佐藤長官の更迭を求めるけど、おたくはどうする」
堂本氏「さきがけ一党の存在などたかが知れてます。一緒にやりますよ」

土井氏は堂本氏と電話でこんなやりとりをし、佐藤氏の更迭と政治倫理問題に関する与党協議の開始を自民党に迫る両党の共同方針がこの時決まった。

12月の温暖化防止京都会議への対応に関しても、社さ両党は政治倫理問題と同様に共同戦線を張った。10月7日、今度は堂本氏の方から衆院議員会館内の土井氏の事務所を訪ね「与党内の協議を経ずに決まった温暖化ガス削減目標の政府案は納得がいかない」と持ちかけ、両党が共同で政府案の撤回を要求する姿勢を確認した。

土井、堂本両氏のつながりは89年の参院選にまでさかのばる。当時、TBSのディレクターをしていた堂本氏は土井氏の説得で参院選に出馬し、当選した。堂本氏目身が「土井さんがいなければ政冶家にはならなかった」と述懐するように2人の関係は「一種の師弟関係」(社民党幹部)に近いものがある。

「気持ちは常に通じ合っている」(土井氏)
「今一番気持ちの良い関係にある」(堂本氏)
と、双方とも息の合ったところを見せる。与党党首会談では橋本首相(自民党総裁)が2人の女性党首に1人で対応するとあって、社民党が自民党との緊張関係を打ち出す中、「D-Dライン」と呼ばれる連携は自民党にとって煙たいもののようだ。