陸奥新報
全国女性議員サミット開幕(弘前)
男女共同社会訴え 政治にもっと進出を 千人参加
土井たか子氏ら講演
1998年10月17日


男女共同参画社会の早期実現を目指そうと全国の女性議員らが会し、日本初の「全国女性議員サミット」が17日、弘前市で開かれた。

5人の女性国会議員を中心に自治体の女性議員、一般客ら約1,000人が参加し「女性を政策決定の場へ!」をテーマに、5%の率にとどまっている日本の女性議員の数を増やし、男女共同参画社会を実現するにはどう行動すべきか意見を交換。

「男女共同参画社会基本法」(仮称)の早期制定に努めるなどとしたサミット宣言を採択した。サミットは18日まで。

サミットは、本県の女性議員33人で組織する県女性議員懇談会(会長・下田敦子県議)が主催。

冒頭、下田会長は「政治の中心が生活関連テーマに移りつつあり、女性に対する時代の要請を覚える。共同参画社会の実現に向け、サミットの成果を全国に発信したい」とあいさつした。

サミットでは衆院議員で社民党党首の土井たか子氏、元内閣官房長官の森山真弓氏、参院議員で公明代表の浜四津敏子氏、堂本暁子氏、小宮山洋子氏がそれぞれ講演。

土井氏は女性初の衆院議長の経験などから、女性議員がまだ特別視されている現状を列挙。「議会の中で女性議員の比率が30%になれば、福祉型の政策に変わるだろう」と予測し、より多くの女性議員を輩出し生きた政冶を目指そう-と会場を盛り上げた。

森山氏は地方議会が国会内より議席保有率が低いことを指摘し「地方議会に女性議員が増えれば本当の意味で民主化が進んだと言えるし、地域社会の本音を訴えていくことができる」と、集まった一般の女性らにエールを送った。

浜四津氏は「女性が持つソフトパワーをないがしろにしてきた結果が、今の“経済敗戦”だ」とばっさり。21世紀のキーワードは女性がどれだけ頑張れるかだと指摘し「これからは私利私欲にとらわれない社会をつくる人がリーダ-だ。女性がそういう行動を起こしやすい」と述べ、会場の拍手を浴びた。

堂本氏は政治や経済、地球環境などさまざまな場面で価値観の転換期にあることを強調。「縦割りでなく包括的に考えるのがこれからの時代。女性の方がそういう発想をする。21世紀は女性が大事な時代になる」。

小宮山氏は、制定に向け準備が進められている男女共同参画社会基本法について「これを骨格として実行力を持たせなければならない。そのポイントは(1)積極的是正措置(2)間接差別(3)苦情処理の三点になる」と分析した。

講演の合間には参加者が加わってのシンポジウムもあり「超党派から女性の地方議員が増える努力を国会の場でもしてほしい」「女性議員を養成するような研修の場が東北地方にあってほしい」など、5人に対する要望や期待の声も上がった。最後にサミット宣言を採択し、

(1)それぞれの立場で男女共同参画政策の担い手として行動する(2)男女共同参画社会基本法の早期制定と、政策決定の場に女性が出て活動できる環境づくりに努める……の二つの柱をうたい上げた。

18日は午前9時からの分科会でテーマを掘り下げて討論し、サミットの日程を終了する。全国女性議員サミットで似顔絵入りのリンゴを手にする(左から)土井、森山、浜四津、堂本、小宮山の五氏と下田会長(左から二人目)