堂本暁子の永田町レポート
真夏の国会を駆け抜けました
2000年8月10日

皆さま 堂本暁子です。

臨時国会閉会(8月9日)
久々に国会中継のテレビに出たところ、多くの方から反響をいただき、改めてテレビの威力を感じています。テレビ局に30年もいた人間としては、皮肉な話ですが、これからもできる限り数多くテレビに出演したいと思っています。大統領選挙を見てもつくづくメディアの時代だと痛感しています。テレビに出なかった火曜日と水曜日の質疑もあわせて報告します。
今回は余りにも短い国会。開いたからには2,3週間はやるべきでした。与党の都合に押し切られた感があります。

予算委員会(8月7日)
★堂本
「沖縄サミット最終コミュニケに、京都議定書の発効に関し「2002年までに」という文言が入っていず大変残念。11月のオランダ、ハーグで開かれるCOP6(気候変動枠組み条約第6回締約国会議)に向けて、どのようなリーダーシップを発揮されるつもりか?」
★森総理
「(発効期限を明記することに)難色を示すサミット参加国があり、合意を得られなかったことをご理解いただきたい。これからもできる限りの可能性を求めて各般にわたって努力していきたい」
★堂本
「神奈川県大和市のベビーホテルでの悲惨な事件に関連し、児童福祉法の第59条が明記しているように、国は、県に責任を押しつけるのではなく、国の責任を明確に認めるべきではないか?」
★津島厚相
「地方自治体と連携を取りながら、質の悪い無認可保育施設に対して的確な措置をとる。同時に国の施策として、認可保育所が夜間保育や延長保育などのニーズに応えられるよう、最大限の努力を行わねばならないと考えている。」
★堂本
「総理は所信表明でも保育サービスを充実すると述べた。20年前に鈴木善幸総理は、ベビーホテルについて総合的な対策を立てると答弁したにもかかわらず、また同じ事件が起きた。総理の覚悟を伺いたい。」
★森総理
「今回の大変痛ましい幼児死亡事件には遺憾というより、怒りを覚える。地方自治体や国の関わる範囲はどうしても限界があるというようなことでは問題は解決しない。20年前から前進がなかったことであれば政府として残念であり、厚相ともよく相談をして、どこに問題があるのか、どのように対応していくべきか、しっかりやってまいりたい。」

予算委員会(8月8日)
★堂本
「沖縄県中城湾、泡瀬干潟の埋め立て計画について、再考を求めたい。愛知万博の教訓に学び、開発をするにあたって自然環境といかに調和していくかということが21世紀に求められている。干潟の埋め立ては国際的にも非難を浴びかねない。」
★中川沖縄開発庁長官
「地元の強い要望があり、国際交流リゾート拠点、マリンシティを建設する計画が立てられた。環境アセスメントや公有水面埋め立てに関する手続きにおいて、再調査を行うべきという意見は出されなかった。環境への影響を極力低減するよう努めながら事業を進めていきたい。」
★堂本
「地方分権一括法により、国の埋立事業を知事が許認可するにあたり、環境庁長官が意見を言う機会がなくなった。国際的に重要な自然は誰が責任を持って保護すべきか、知事だけの判断でよろしいのか?」
★扇建設相
「地方分権の推進のために避けて通れない措置であった。国家的、国際的に貴重な自然環境は、関係する全省庁が連携して保全していく。」
★川口環境庁長官
「地方分権と環境保全は両立する。今後とも沖縄県知事と綿密に相談し対処していきたい。」
★堂本
「環境ホルモン対策について、女性の健康に対する影響の調査など、関係各省がよく連携をとって推進していただきたい。」
★川口環境庁長官
「各省庁間での連携は大事。また、OECD等での調査方法についての国際協力にも参加しているし、12月には『奪われし未来』の著者シーア・コルボーンさんなどを招いた環境ホルモンに関する国際会議を予定している。」

国民福祉委員会(8月9日)
★堂本
「20年前の法改正で閉鎖命令が出せるようになったのに、一度も行われていない。ベビーホテル最大の問題は密室性。
(1)神奈川県同様、県や市町村レベルで無認可保育についての相談窓口を開設する
(2)立ち入り調査、指導監督の内容を、それらの窓口で詳細に情報公開する
(3)無認可保育施設の施設長に対する研修を義務づける
(4)ベビーホテルの利用者に対し、月1回は認可保育を開放して、親が認可保育の内容を知り、保育者も子どもの生育状態を比較観察する機会を提供する
などの具体策を提案する。」
★津島厚相
「神奈川県の窓口開設は評価している。似たように認可保育所の整備が遅れている県ではぜひまねしてほしい。厚生省内に、専門家の助言チームを作り、堂本委員の意見を含めて検討し、改善していきたい。」
★堂本
「男女共同参画審議会が『女性に関する暴力』の答申をまとめたが、その中でも
1)夫やパートナーからの暴力から逃れてきた女性を保護する緊急一時保護体制の確立
2)東京から新潟、長崎から北海道など被害女性を遠くへかくまうための広域的な対応
3)被害女性が従来警察、婦人相談所、児童相談所、福祉事務所、人権養護施設などをたらい回しにされてきたが、それを避けるための総合的な24時間対応の公的サービス相談窓口の設置、などについて厚生省がどう対応するつもりか?」
★炭谷社会援護局長
「99年4月に全国に通知を発信し、広域的な取り組みをお願いしている。今後は交通費など財政的な支援についても検討していく。夜間の緊急保護については婦人相談所の当直職員が弾力的に対応しているが、加害者が相談所に来て職員が怪我をするなどの事件も起きているので、新たな施策を考えていきたい。」
★津島厚相
「今のままではたらい回し。制度に不備があることを認識している。審議会の答申にもあるような24時間体制の窓口の設置について努力していきたい。」

沖縄及び北方問題特別委員会(8月9日)
★堂本
「領土交渉に支障のない範囲で、今の豊かな北方4島の自然保護を領土返還後にも残せるような施策を考えるべき時ではないか。生物圏保存地域としての共同登録など、IUCNやユネスコなどの国際機関と連携することも検討していただきたい。」
★河野外相
「わが国の法的立場を害することなく、自然保護に取り組む方策があるのであれば、十分研究する価値があると考える。」
★堂本
「中城湾の泡瀬干潟の近隣で、類似の開発計画がある。もとより地域の経済振興に異議を唱えるものではなく、泡瀬の豊かな自然を観光資源として保全するといった独自の地域振興策を考えるべきではないか?」
★中川沖縄開発庁長官
「近隣の類似計画について詳しく関知していないが、地元の強い要望があり、ここまで計画が進んでおり、また藻場の移植についても成功していると聞いているので、(事業の実施に)ご理解願いたい。」

NPO支援税制も議員立法で!(8月8日)
8日、第3回NPO議員連盟総会が開かれました。半年ぶり、そして衆議院選挙後初の総会で、新しいメンバーも加わり(現時点で会員数は233名)活気のある会合となりました。まず最初に加藤紘一会長から、11月までの間に議論し土台を固めていきたいとの挨拶がありました。続いて各党代表挨拶があり、私は広島で開かれた「全国NPOフォーラム2000」に参加した時の議論を紹介しました。その後、加藤会長から支援策について2点、問題提起がありました。

(1)誰が認定するのか。税務署か都道府県かNPO全国連盟のような組織なのか。
(2)この法案を閣法でやるのか、議員立法でやるのか。

これに対し、シーズの松原氏からは第3者機関(一つの機関)で認定すべき、そして国民の代表である議員の立法で行うべきだとの発言が出ました。その他市民団体や議員たち、そして私も第3者機関による認定と、さらに議員立法でやるべきと主張。今回の総会でとりあえずは議員立法で行うことが決定されました。そして認定機関については今後引き続き協議をすることになりました。その他の決定事項及び確認事項は以下の通りです。

(1)全国3カ所で地方NPOフォーラムのような討論会を開き様々な団体から意見を聞く。
(2)今後のスケジュールについては、12月半ばの税制大綱に載せることができるよう支援策の作業を行い、来年の通常国会で審議できるようにする。
(3)税以外の法改正も重要なので、NPO法の問題点も含め市民団体から意見を求め、検討を行う。

いよいよ本格的に議員レベルの作業も動き出します。私のNPO法作成過程の経験から言って(NPO法をどうしても役所が作りたいとの話しが出たときには、4ヶ月ほどかけて議員と役所とで随分ともめた経緯があるからです)、この総会で「議員立法」を決めたことはとても重要なことです。これから私も一生懸命勉強し作業を行いますが、どうか皆さんもそれぞれの活動の場で、何が必要なのか、誰が認定すればよいのか、仲間同士で話し合ってみて下さい。