市民と議員で作り上げたNPO法案
1997年6月
堂本暁子


衆議院をNPO法案が通過した瞬間の感動は、たとえようのないものでした。何百本という法律が国会で成立しますが、NPO法案には特別の思いがあります。

いままで出されたほとんどの法案は、それぞれの役所がつくるいわゆる内閣提出の法案。ところがNPO法案は違います。市民と議員が一緒に作り上げた法律です。いままでにも、市民と議員が協力した法律がないわけではありませんが、民法の特別法としてこれだけ大きい法律を立案したケースはありませんでした。

「許可ではなくて、認証でどうだろうか。認証だと宗教法人と同じなんですけど」「民法の公益法人とのすみ分けをしなければならない。そこで法制局は低廉性、と言っているのですが」「NGOの領域を5つの領域に切ってきた。これは困りますよね」といったような、市民としては受け入れ難い内容を一つ一つ覆していくのに2年半かかった、とも言えます。

100パーセント満足のいく法律でないことは論をまちませんが、私は市民参加のプロセスと、市民が内容を作り上げていった結果を考えると、80点はつけたいと思っています。あとの20点はこの法律を運用しながら修正し、最終的には民法改正に持ち込む以外にない、と言えましよう。

NPO法がフルに活用され、市民がいままで以上に動きやすくなったとき、日本の社会と政治が変わり、国際的に通用するNGOが次々と日本から世界に出ていくことになるのではないでしようか。国内的にも、これからNGOが21世紀の日本をつくっていく、そんな時代が夢です。