高齢社会をよくする女性の会会報 NO.129
女性の視点で県政を
2001年8月
堂本暁子


私は7月31日で69歳になった。30年間勤めたTBSの定年は60歳だから、若い頃は60代の後半ともなれば、好きな山歩きをするなど、優雅、悠々自適の日々を送るものと思っていた。それがである。こともあろうに、千葉県の知事に就任してからというもの、優雅どころか我が人生で最も責任の重い、また多忙な毎日を過ごしている。

立候補する時も歳が気になって迷った。しかし「どうしても女性知事を…」という熱いラブコールに押されて出馬した。千葉の女性たちは正しかった。なにしろ知事になって驚いたことに、女性の視点が高齢者問題に対しても、障害者福祉についても、保育や教育の分野でもほとんどないのである。皆無といっていい。だからいまや歳など問題ではない。私は燃え尽き症候群にならないように気をつけながら、夢中になって駆け出した。

まずDV。国会議員を辞めるまで手掛けてきた「配偶者に対する暴力防止法」である。県庁職員を集めて講演を行い、DV担当者を募る。県警本部の警察官が手をあげたのは嬉しかった。女性2人、男性2人の4人体制でDVチームはスタートした。
次に女性の健康と医療。私はリプロダクティブ・ヘルス/ライツに取り組んですでに20年以上になるが、国会議員として悪戦苦闘したものの「女性健康福祉基本法」のような法律をつくることはできなかった。世界の潮流から日本は遅れるばかりである。

ところが知事になって初めて「女性の健康」政策を具体化することが可能になった。県立東金病院に「女医による女性専用医療外来」をつくり、千葉大の医学部では「女性専用医学講座」が開設されることとなった。
樋口恵子さんとは昭和7年生まれで同じ歳。2人共どものんびり「老いの日」を楽しむのは80代になってからなのだろうか。一番迷惑をかけているのは97歳の母で食事をつくって上げる暇がなかなかないのである。