堂本暁子の永田町レポート
市民と政治をつなぐ
1998年2月16日

皆さま 堂本暁子です。

総理大臣の施政方針演説への感想・「わが国のシステム全体を改革する」

昨日(1998年2月16日)の本会議で、総理大臣施政方針演説、小淵外務大臣の外交演説、松永大蔵大臣の財政演説等が行われました。

総理はまず第一に「制度疲労をおこしているわが国のシステム全体を改革する」と述べました。行政改革を政策の柱に掲げている橋本内閣を、私たちが支持してきたのは、まさに行財政の改革を実現したかったからです。しかし財政・金融の完全分離にみるように、族議員や官僚の抵抗で、予定された改革が順調に実現しないのが最近の実態です。それをみて官僚制度の硬直化、そしてその既得権に固執する、あまりの強さに唖然としています。縦割り行政は細部まで、まるで針金をはりめぐらせたように組織化されており、総理が指摘するように「制度疲労」を起こしているにも係わらず、時代が求める方向に向けての改革を実行するのは至難の業としかいいようがありません。

政治家が悪いとよくいわれます。しかし半世紀近く一つの党の単独政権が続くと、行政のシステムが政治にまで連動し、政治が政治として機能しにくくなってしまったのが、今の日本ではないでしょうか。総理は改革を「内閣の総力を挙げて、どのような困難があっても、やり遂げる覚悟です」と述べましたが、私は、総理大臣といえども時間を必要とする仕事だと、最近は強く感じています。施政方針演説を聞きながら、根気よくやってほしい、と思わざるを得ませんでした。と同時に改革は日本にとって最も大事な仕事だと思えばこそ、その実現ために、私なりに全力投球したい、と考えています。

大詰めを迎えたNPO法案

市民活動促進法案、いわゆるNPO法案が大詰めを迎えています。現在、日本では営利企業は登記するだけで法人格を得られるにも関わらず、市民活動など非営利の団体は簡単に法人格を得ることができません。部屋を借りるにも電話をひくにも、団体の法人名ではなく代表者の名前で手続きをとらなければならず、スタッフは社会保障も受けられず、税法上の措置もなく、相続のトラブルなど、不便この上ない状況です。明治29年に作られた民法の公益法人は何億という基本財産を必要とし、しかも行政の許認可制です。つまり、日本のNGOが欧米のNGOに比べて力が弱いのは、こうした社会的な条件などNGOのステータスが確立しないためだと私はいつも感じてきました。信じられないことですが、日本の代表的な国際NGOである日本ボランテイアセンターでさえ法人格をもっていません。

私は3年前に与党のNPOプロジェクトチームができて以来、法律作りに参加してきました。やっと参議院での審議も終わりに近づき、現在、与野党間で修正案作りの協議に入っています。最後に残った与野党間の争点は、宗教活動と政治上の主義に関する活動を「主たる目的としないこと」を法文に明記するか否かです。野党は市民活動に制限を加えるべきではないと主張し、これに対して与党は公益法人にみられるような脱税など、法人格の悪用を防ぐための歯止めが必要だと主張し、目下のところ対立しています。オウムの事件が影響していることは否めません。

私は情報公開によって市民が自らの義務と責任によって相互チェックを行い、市民活動の独自性と信頼性を確立すべきだと主張し、委員会でも発言しました。私としては市民団体の要望に応えて、2月中には法案の修正を終え参議院を通して、衆議院に送付したいと願っています。