堂本暁子の永田町レポート
新しい時代の小売店をどう支えるか
1998年05月22日

皆さま 堂本暁子です。

5月21日(木)経済・産業委員会参議院第42委員会室大店法を廃止し、「大規模小売店舗立地法案」「中心市街地活性化法案」さらに建設省から出されている「都市計画法の改正案」について、私は橋本総理大臣に質問をしました。以下はその質疑の内容です。

堂本:
時代の変化に対応して大胆な小売商業政策の転換を行うのであれば、前向きなものでなければならない。失敗は許されない。私の危惧は、中央省庁が地方に派遣する都市工学の専門家の助言が主役である筈の中小の小売店や消費者の意思がどれだけ計画に反映されるのか、という点です。特にハードに偏るのではないか、また箱ものをつくるのではないか、との危惧です。むしろ大事なのは、生活習慣や地域の文化の継承です。予算があるが故に、地域の特性を壊してしまうのではないか、と心配しています。ソフトが大事です。地方のもつ良さをどう発掘していくのかが課題ですが、その作業をする期間があまりにも短く、丁寧にきめ細かな政策が日本全国でどう展開できるのだろうか、と考えます。

総理にお願いしたいのは、中小の小売業の方たちに、今がチャンスなのだ、頑張りなさい、と総理大臣から声をかけて示していただくことです。なぜなら、中小小売店は弱者で大型店がくれば負けるのだ、という恐怖心が広がっているような気がするのです。そうではない。消費需要は個性化、多様化、高度化を求めており、このニーズに応えるのは大型店ではない。中小のお店のサービスが求められている、中小のお店が堂々と声を上げる時なのですと。さもないと、日本の生活文化が壊れてしまいます。

橋本総理:
衆議院で、文化庁が指定しております文化伝統建造物をひとつの例として考えて頂きたいと申し上げました。あれはまさにそれぞれの時代における中心市街地でありますし、また中小の小売りでした。あの時代になりますと、当時のルールでいけば大型店だったのかもしれませんが。自分のふるさとをふり返りましてもそうしたものが残されております。そしてそれが街の顔になり、文化を継承し、さまざまな役割を果たしてまいりました。その意味でいまの議員のご指摘は、私は非常に大事に聞かせていただきました。ことにハードに偏らずソフトを考える、そしてそのソフトの中に、それぞれの地域社会に住んでいる方々の息吹の聞こえるような受け止めをしろ、というご注意は、通産大臣以下、事務当局の諸君も聞いてくれておりますけれども、非常に大事なご指摘でございます。

そのソフトに、という中に私はむしろ中小の小売りの皆さんに、地域社会の中で中小小売り業というものが果たしていく役割を見出して頂きたい、と今ご質問を伺いながら思いました。それぞれの地域の中には生活上の弱者というものが必ずあります。そうした方々の生活の便を支えるのは、まさに中小の小売りの方々の役割でありますし、そのキメの細かいサービスというものは、当然ながらそれぞれのお店の特色としても生きていくでしょう。

問題は、そういう行動を促しうるような基本計画というものが、プランニングとして出てくる、それを我々は受け止め、そして支援していくということで、その場合のソフトの重要性というご指摘は、これからも大事にしたいと思います。