堂本あき子なの花日記
9月定例県議会が開会しました
2003年9月25日

皆さま 堂本暁子です。

今日、9月定例県議会が開会しました。冒頭の知事挨拶で次のように述べましたので、お知らせします。

小泉第二次改造内閣が9月22日に発足し、総理は構造改革を推進する決意を表明しました。千葉県としては、県と市町村に多大な影響を及ぼすであろう三位一体改革が、どのように実行されるかを見据えていかなければなりません。

私は、地域の行政サービスの向上のためには、国の関与は極力小さくし地域の事情を熟知している地方自治体が自らの主体的判断で事業を取捨選択し、実行していくのが最善の策である、と考えます。そのためには国庫補助金の大幅な一般財源化と同時に、地方交付税並びに税源移譲を三位一体の改革として実現することが是非とも必要です。

次に、県住宅供給公社の問題について報告させていただきます。

同公社については、地価下落による影響や多額の借入金の返済等の負担が経営を大きく圧迫している状況にあります。先の6月県議会において、公社の大幅なリストラを進めることと併せ、県としても支援を検討していくと申し上げたところですが、現在、金融機関との交渉は難航しており、大変厳しい状況にあります。

同公社がこのような経営危機に陥った大きな原因の一つが、市原市米沢の団地開発計画です。バブル経済の崩壊後の平成7年度から9年度にかけて、75.2ヘクタールの土地を宅地並みの159億円で買収しましたが、現在は手付かずで、計画が、事実上凍結されています。 これまでも、土地取得の経緯等についての不明朗さが報道されており、これを放置したまま、県の支援策を打ち出すことは、県民や県議会の納得が得られないものと考え、9月18日に地方自治法に基づき、監査委員に監査要求をいたしました。
今後は、監査委員において、不正の有無等、事実関係を明らかにしていただいた上で、同公社問題に真摯に対応してまいります。

続いて、県政をめぐる最近の動きについてご報告いたします。

合併特例法の期限である平成17年3月まであと1年半となり、県内では、去る8月20日に「長生郡市合併協議会」が設置されたことにより、現在、10地域45市町村で法定の合併協議会が設置され、具体的な合併に向けての取組みが進んでいます。

一方、未だ合併の枠組みが流動的で、法定合併協議会の設置がなされていない市町村については、合併が一層促進されるよう、県としては、最大限の協力と支援をしてまいります。

こうした市町村合併の進展や、国の構造改革路線をはじめとする地方分権の流れの中で、今、県が果たすべき役割はかつてないほど大きなものとなっています。

私の、県政運営の基本姿勢は以下の3点です。

 第一に、地域住民の思いやニーズを共有できる県政
 第二に、市町村と対等な立場で協働する県政
 第三に、その結果として、千葉文化の創造と経済の発展を確かなものとし、
     充実感を600万県民と共感できる県政です。

県はこうした基本姿勢に基づいて、市町村、企業、大学、NPOなど様々な主体の有機的な連携を構築するために、その調整機能を十分に発揮しなければなりません。

また、全職員が県民生活の安全の確保や県土の環境の保全など重点政策を総合化し、アクションプランや戦略プロジェクトを通じて県内各地域の個性や多様性を活かし、飛躍する千葉県の実現に努めてまいります。

さて、政策を横断的かつ融合的に推進するために、6月県議会で5つの戦略プロジェクトをお示ししました。

1つ目の「健康づくりふるさと構想」は、誰もが生まれてから死ぬまで、健やかにすごすための総合的政策です。

福祉建築家として、日本はもちろん国際的にも注目されていた、千葉県出身の外山(とやま) 義(ただし) 京都大学教授が、昨年の秋、急逝されました。外山教授は高齢者の施設の研究者ですが、「高齢者は、足が弱くなったり、耳が遠くなったりと、ある種、喪失体験の連続です。その中で、残っている能力を使いながら、再度、自分なりのバランスを再構築するのが老後のテーマではないでしょうか。」と述べています。

さらに「高齢者が、施設に入ると、朝起きる時間も、食事も自分の好みどおりにはならず、あきらめていかなければならない。そのことによって、生きる意欲すら失ってしまう。そこで、お年寄りが自らを再構築し、『やりたい』『生きたい』という意欲を持つためには、一人ひとりに、個別に対応していく必要がある。それが真の介護なのだ。」と外山教授は主張しています。

この考え方は、健康づくりにおいても、そのまま当てはまるのではないでしょうか。すなわち、これまでの既製服的な健康づくりの施策ではなく、お年寄りをはじめとする県民一人ひとりの健康状態や毎日の生活にしっかりと対応した、新しい健康づくりの施策が求められていると言えます。

そこで、「健康づくりふるさと構想」では、県民一人ひとりの健康生活のコーディネートを行うなど、今までにない、民間と行政が一体となった総合的な健康づくりシステムの構築に取り組んでいます。

また、健康づくりに向けて頑張っている市町村のあらゆる取り組みを支援し、それぞれの地域の特性やニーズに合った、健康づくりのパッケージを提案していきます。

2つ目としては、「観光立県千葉の実現」です。

6月県議会において、すべての施策を観光の視点から捉え直し、豊かな自然や新鮮な食材など千葉の持つ様々な特徴を結びつけながら魅力ある「観光県ちば」の実現に取り組むと申し上げました。

県としては、県内の各地域において、具体的に、観光地づくりや観光ルートづくりを提案し、市町村、民間そして住民などの調整役として、地域の活力を引き出す努力をしてまいります。

そのためには、全国に、また全世界に向けて、「観光県ちば」の魅力を知っていただくキャンペーンを展開しなければなりません。その際、キャンペーンのアイデアを広く県民から募集し、県民参加の観光地づくりを実現したいと考えています。

3つ目は、「日本一の安心農産物『千葉ブランド』の確立」です。

食は、健康や生活すべての基本であり、安心農産物を供給することは、食の大前提です。そのため、引き続き「千葉ブランド」の拡充に努め、県民の命と幸せを守る「食と農」の総合プロジェクトを推進してまいります。

ところで、県教育委員会が、広報紙「夢気球」で食育の特集を組みました。称して、「いきいきちばっこ」、「い」は、イワシを食べて 血液さらさら、「き」は、きちんととろう 朝ごはん、「ち」は、ちからがでるよ 千葉の米、などで、家庭で、この「いきいきちばっこ」を献立や食習慣のチェックリストとして活用していただきたいと思います。

4つ目は、「千葉経済の発展と就業支援体制の構築」です。

先日、県は、「千葉県産業フォーラム2003」を東京で開き、トップセールスを行ってまいりました。このフォーラムでは、成田空港周辺に進出を希望する物流関係の企業が目立ちましたが、全県的には、まだ多くの企業用地が残されており、ここに、企業の立地を進めることが本県経済の発展に寄与するものと考えています。

また、地域振興整備公団に整備を要請していた大学連携型インキュベーション施設の「東大柏ベンチャープラザ(仮称)」及びかずさアカデミアパークにおける「かずさバイオインキュベータ」が、8月に同公団の事業として採択され、ともに来年度から供用されることになりました。

さらに、中小企業に無担保で長期の安定的な資金供給を行うため、新しい融資制度(千葉県版CLO)の今年度内の実施を目指し、千葉市や県内金融機関と協力しながら準備を進めているところです。

5つ目は、「安全・安心な生活空間づくり」です。

全国的な犯罪の増加傾向は、千葉県でも例外ではありません。東京圏、関西圏の知事とともに、警察官の増員を要望していますが、これにとどまらず、犯罪の心配がなく、安心して暮らせるように、「(仮称)生活安全条例」を基本に、県民一人ひとりの防犯に対する意識啓発を促進するとともに、犯罪防止に配慮した公共施設整備に関する指針づくりや学校等における子どもたちの安全を守るための対策など、安全・安心な環境づくりに取り組んでいきます。

次に、予算編成方式について申し上げます。

本県においては、平成14年度には46年ぶりに82億円の赤字決算となり、15年度においても、大幅な財源不足が見込まれています。

そこで、16年度の予算編成に当たっては、限られた財源をより効果的に責任を持って執行する方式として、従来の財政担当部局主導の予算編成方式から、各部局が配分された予算を効率的重点的に編成する「部局主体の枠配分方式」に切り替えることにいたしました。これは、厳しい財政状況にあっても、的確に県民のニーズに応え、大胆に予算の選択と集中を行うためのものです。

何としても、財政再建団体への転落を阻止しなければならないので、県議会をはじめ県民や市町村の皆さんに是非御理解と御協力をいただきたいと思います。

次に、羽田空港の再拡張問題について申し上げます。

国土交通省は、羽田空港の再拡張に関する費用の一部を概算要求しました。
しかし、羽田空港再拡張事業にあたって最優先すべき「騒音共有」を実現するための飛行経路の検討は、未だ緒についたばかりであり、着工を前提とした議論をすべき時期ではないと考えます。まず、首都圏全体での騒音問題の共有を実現しうる飛行経路案を求めていきます。
また、関係市と情報を共有し、連携して対応していくため、知事と東京湾岸10市の市長で構成する「羽田空港再拡張事業に係る県・市連絡会議」を設置し、去る8月5日に第1回の会議を開催しました。今後とも県・市一体となって対応してまいります。

次に、三番瀬について申し上げます。

昨年12月に提出された、「再生に向けての中間とりまとめ」を踏まえて、検討が積み重ねられてきましたが、いよいよ本日、再生計画の第1次素案を議論する円卓会議が開かれる運びとなりました。

三番瀬の再生は、政策提言型の「千葉モデル」の具体的展開のひとつとして、地域住民、漁業関係者、環境保護団体等、様々な主体の参加の下に検討されてきており、その手法は全国的にも大きな注目を集めています。

今後、円卓会議としてさらにこの再生計画素案を検討した上で公表し、県民の意見を聴きながら、平成16年1月には、成案が提出される予定と聞いており、私としても大いに期待しているところです。

里山帰農塾(鴨川市 9月23日)