堂本暁子の永田町レポート
ごみ3題ー島国日本にしのびよる恐怖
1999年6月1日

皆さま 堂本暁子です。

その一
先週26日の本会議で、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」という長い名称の法律案の趣旨説明が行われました。これは、事業者が環境へ排出する特定科学物質の量を報告し、原則公開することを義務づけ、化学物質の管理を改善・強化するための法律です。化学物質汚染によって、日本が第2の公害列島となることを、私はとても危惧してきました。規制もさることながら、おそれのある物質をどう管理し、汚染を予防していくかということが、求められています。十分な審議と一刻も早い法案の成立、施行が望まれます。

その二
5月25日から28日まで東京ビッグサイトで「廃棄物処理展'99」が開かれました。会場に入ると、あふれる熱気。思わず近くにいた係の人に「いったい参加者は何人くらいですか?」と聞くと、「4日間で20万人を上回るでしょう」とのこと。ごみ問題がこれだけ大きな関心事になっていることを実感しました。私は、松田美夜子さんが代表をしている 「元気なごみ仲間の会'99全国交流集会in東京」に出席。左隣は北区から来た女性たちで、月に1トンのアルミ缶を集め、もう100台以上の車椅子を老人ホームなどの高齢者施設に寄付したそうです。手前のグループは長野県上田のお母さんたちで、生ごみのたい肥化を進めており、「とても野菜がよくできるんですよ」とのこと。 福島のグループは、ごみの視点から地球環境問題に関するイベントを企画するとか。全国津々浦々で、生活に密着した形でごみ問題に取り組んでいることを肌で感じ、ワインを飲みながら、そして歌を聴きながら、ごみについて熱く熱く語り合いました。

その三
この週末29日と30日は、長野県の上山田温泉で開かれた、第19回環境社会学会セミナーに会員として参加。「中山間地の環境問題」というテーマでしたが、ここでも主な関心は、ごみでした。まずはホスト役の上山田町。温泉街の飲食店からでる大量の生ごみを町をあげて回収、たい肥化に取り組んでいるそうです。一方では県内から持ち込まれる産業廃棄物の焼却場の周りを調査、ダイオキシン汚染を確認したけれども、県に許認可権があるため、町には操業を停止させることができない悩みを抱えているそうです。
沖縄のごみ処理についての研究発表も行われました。観光客や本土からの企業の流入で、ごみが増え、しかも分別する意識が薄いため、野放図に捨てられているそうです。日本でも有数の美しい沖縄の海が、ごみで汚されている実態がスライドとレポートで報告されました。私にはコバルトブルーの美しい座間味村のイメージがとても強いので、ごみですっかり汚れてしまった島の姿を見るのは、胸のつまる思いでした。沖縄だけではありません。狭い島国である日本にとって、ごみ問題、とくに産業廃棄物の問題は、大量消費型社会を享受した副作用であり、想像を絶するほど深刻な課題です。ごみ、ごみ、ごみと、ごみについて考えさせられた一週間でした。

来週火曜日は、森の会です!!
4月の上越でとても人気のあった長谷川先生に東京まで来ていただき、上越の会に参加できなかった方々にも話を聞いていただこうという趣向です。私は、4月末に出席したIUCN(世界自然保護連合)の理事会の報告をいたします。どなたでも参加できます。ふるってご参加下さい。

日時:6月8日(火)18:30〜20:30
場所:環境パートナーシップオフィス 渋谷区神宮前5-53-70
   地下鉄「表参道」下車、国連大学のとなり
講演・報告:「上越の里山」 長谷川康雄氏(前上越教育大学教授)
      「IUCNジュネーブ理事会の報告」 堂本暁子(参議院議員)