堂本暁子の永田町レポート
明けましておめでとうございます
2000年1月12日

皆さま 堂本暁子です。

1月といえば、私が子どものころには東京はとても寒かったという印象を持っています。しかし温暖化が進んでいるのでしょうか、今年は暖かいお正月でした。かつては暖かさを単純に喜べたのですが、地球への影響を考えると素直に喜べません。

世界銀行は本当に変わることができるのか(1月12日 経団連会館にて)
世界銀行と世界自然保護連合(IUCN)、そして経団連自然保護基金が共催するシンポジウム「自然保護活動における戦略的パートナーシップの構築に向けて」が開かれています。この3日間、私はIUCNの副会長として出席してきました。世界銀行研究所のジョセ・フルタドさんは、「世界銀行は融資事業において、4年前から完全に方向転換を行い、地域住民やNGOの意見を取り入れ、情報を公開し、関係者の合意を得ながら、事業を実施しています」と、時代の要請に沿ったものとして論理的に説明しました。

私がこのシンポジウムで注目したのは2つの事柄です。1つは、CSO(シビル・ソサエティ・オーガナイゼーション)という新しい概念の登場です。従来NGOという言葉が多用されてきましたが、今回の会議でフルタド氏は、NGOと並べてCSOという言葉を用いて、今後の重要なパートナーとして紹介していました。私は去年の暮れにカナダのモントリオールで開かれた世界市民社会国際会議にも出席しましたが、そこでもCSOという言葉が使われていました。NGOという「市民運動」のレベルから、消費者団体なども含めた「市民社会」というより広い概念を打ち出しているわけです。

もう1つ私が注目した点は、実際世界銀行がどの程度変わったのかということです。環境重視の姿勢を早くから打ち出した世界銀行は、もちろん多くの援助機関に先駆けたとりくみをしているのでしょうが、果たして本当に途上国の現場において実際にプロジェクトの運営にその理念・指針が生かされているといえるでしょうか? 参加したNGOの意見を聞くにつけ、巨体が大きく舵を取るのは時間がかかるのではないかと感じざるを得ません。かつて途上国においてリーディングドナー、主要投資家であった世界銀行も、民間投資が拡大・成長した現在、世界の途上国への投資総額の16%を占めるに過ぎません。これからの世界銀行は、利害の異なる当事者たちの調整役、ファシリテータの役割を果たしていきたいとのことでしたが、トップダウンだった組織が、住民参加のアプローチをどこまで真剣に取り入れ、どう変わっていくのか。これからの世界銀行の変身に注目していきたいと思っています。