堂本暁子の永田町レポート
2人の男性参考人が語る男女共同参画
2000年3月1日

皆さま 堂本暁子です。

昨夜、予算案が衆議院を通過し、今日から参議院の予算委員会での審議が始まりました。今日は、新潟県警の不祥事や、小渕総理の秘書官のNTTドコモ株取得問題について、野党の追及が続きました。国の財政のあり方についての建設的な議論よりも、こうしたスキャンダルの暴き合いが行われるのは何とも情けないかぎりです。これでは日本の政治がますます国民に見放されてしまうのではないかと残念に思います。

男性議員も納得〜2人の男性参考人が語る男女共同参画〜
今日は、参議院の「共生社会に関する調査会」で、女性の政策決定過程への参画について、参考人の五十嵐暁郎さん(立教大学法学部教授)と岡澤憲芙さん(早稲田大学理事・社会学部教授)からお話をうかがいました。

岡澤教授は北欧の専門家。スウェーデンでは60年代から70年代にかけて、経済的な豊かさから時間的なゆとりへと政策の転換が行われ、労働時間の短縮や年休の完全消化が実施されました。労働時間が短くなったので、家族を大事にするようになったのはもちろんですが、夜間や週末に開かれる地方議会にも住民が積極的に参加できるようになり、「参加型のデモクラシー」を成熟させてきました。その結果、日常の生活と意思決定の場が直結しています。市民の生活と議会とが乖離している日本とは大変な違いです。日本の場合は日中に地方議会が開かれるので、地主や土建業者が多いのが実態です。ノルウェーの平均労働時間は年間1399時間、スウェーデンは1552時間、日本は1889時間です。1日8時間労働として、日本はノルウェーより60日つまり2ヶ月分、スウェーデンより42日およそ1ヶ月半も余計に働いていることになります。

政治学がご専門の五十嵐教授は「戦争直後の民主主義教育では男女平等は当たり前の原則として徹底されていた。この戦後の初心はいったいどこに行ってしまったのだろうか。情けない思いでいっぱいです。スウェーデンで『黄金の60年代』といわれた時代には、日本だって一人当たりGDPはアメリカを超えたにもかかわらず、日本人はいったい何をしていたのでしょうか。男女平等の観点からの改革が必要だったにも関わらず、それが実現できなかった。そのためグローバルな潮流に取り残されてしまいました。これは社会の本質に関わる問題です。今、政府の決断が問われていると思います」と述べられました。