堂本暁子の永田町レポート
本会議で代表質問〜バリアフリー化
2000年4月20日

皆さま 堂本暁子です。

国会の周りを淡いピンクで埋めた桜が散って、柳や銀杏などが芽吹き、季節の変わり目を感じる今日この頃です。一歩国会の中に入ると、決戦場さながらに来る日も来る日も法律の審議と採決が目白押し。総選挙を予測してのことでしょうか。

本会議で代表質問〜バリアフリー化の徹底を〜(4月19日)
19日は交通のバリアフリー法について、本会議で質問しました。この法律の内容は、障害者や高齢者、妊産婦や子どもが自由に移動できるよう、駅や車両、周辺道路などの段差をなくしたり、エスカレータ、エレベータを設置するなどといった内容です。
私は、「今までの車優先の道路行政から生活者優先の道路作りに転換してほしい。高速道路や幹線道路のすぐ横に歩行者道路がほしい。何より大事なのは、自治体の職員や駅員が、それぞれの地域に住む障害者や高齢者から具体的にどのような改善をしてほしいのか、何を不便に感じているのか聞くべきである。それだけではなく、バリアフリー化の担当者、責任者に、車椅子や高齢者の身体機能の疑似体験を義務づけるべきではないか」と主張しました。これに対して二階運輸大臣は、「貴重なご提言として受けとめ、交通事業者に検討するよう促してまいりたい」と答弁。
車椅子体験もある私としては、どうも段差や階段を美しいと考える設計者が多いように思えてなりません。障害者や高齢者だけではなく、誰にとってもわかりやすく利用しやすい「ユニバーサルデザイン」こそが最も美しいのだという視点から、街作り、国造りを進めるべきだと建設大臣に求めました。最後に「駅や道路などハードのバリアフリー化も大事だが、障害者や高齢者を差別しない、心のバリアフリー教育を徹底すべきだ」と文部大臣に提言。中曽根大臣の答弁は、「思いやりを大事にする」というものでしたが、官僚の文章をただ読んでいる感じで、残念ながらご自身の見解を感じとることはできませんでした。
この日、誰もが感動したのは、視覚障害者の堀利和議員(民主)が質問に立ったことです。白い杖を持った堀さんの手を衛視さんがとって本会議場の壇上に誘導すると、与野党の別なく、いっせいに拍手が起こりました。他の議員は原稿に目を落として読みあげるのですが、堀さんの原稿は点字なので、まっすぐ顔をあげて語る姿には、議場にいる誰もが心打たれたのではないでしょうか。すべての障害者の思いと願いを担っての質問でした。男性、女性、若者に高齢者、そして障害者と、いろいろな分野を代表する人たちが議員になることの重要性を感じた質疑でもありました。

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麻薬・覚せい剤乱用防止議連が発足(4月20日)
20日朝8時半、麻薬・覚せい剤乱用防止対策推進議員連盟という長い名前の議連がスタートしました。会長は橋本龍太郎さんです。警察庁の報告によると、かつては100kg以上の麻薬が摘発されることは非常に珍しかったのが、最近は悪質なケースが増えているとのこと。鹿児島県の海岸で摘発されたゴムボートには、564.6kgもの覚せい剤が、ボストンバックに詰め込まれていたそうです。その時、沖に停泊していたのは台湾船籍の船だったそうです。1999年は覚せい剤が実に2トン押収されたのですが、この量は過去5年間の総押収量を越える量です。これは約6千5百万回分、つまり日本の人口の半分が汚染される量です。

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厚生年金よ、お前もか!公的年金空洞化の実態(4月20日)
10時からは、国民福祉委員会に出席。不況で経営がふるわず、厚生年金などの社会保険料が払えなくなって脱退する中小企業が増えている問題について質問しました。ペーパーカンパニーなどもあるので、実態の把握は困難と、政府は現実を認めようとしてこなかったのですが、最近新聞にも「約80万の中小企業が未加入」と大きく取り上げられるなど、事態は深刻なレベルにあると思います。前回に続いての私の執拗な質問に対し、大臣は「事実だとすれば、強制加入である年金制度の根幹を揺るがす大問題。早急に実態の把握に努めたい」と答弁しました。国民年金の空洞化が指摘されている中、企業の負担に支えられてきた厚生年金も危機に瀕しているのはないでしょうか。私は今の社会保障制度全体が大企業の安定雇用を前提とした制度であり、雇用が流動化した今、制度と現実の谷間に落ちている人が多く、ベンチャー企業育成の観点からも、抜本的な制度改革が必要だと主張しています。