堂本暁子の永田町レポート
先進国日本の裏側で 心とからだのひずみ
2000年5月2日

皆さま 堂本暁子です。

憲法調査会 日本の憲法に男女平等を入れたゴードンさんの証言(5月2日)
今日は、午後1時から参議院の憲法調査会に、日本国憲法を起草したベアテ・シロタ・ゴードンさんが参考人として招かれました。白髪のゴードンさんは流ちょうな日本語で「戦前日本で暮らした私は、女性に何の権利もないことを知っていたので、憲法に明確に女性の権利を書き込みたい、と強く思っていました。その結果、男女の平等が憲法で保障されたのです」と語りました。ゴードンさんによると、日本政府との打ち合わせで大激論になったのは第一に天皇、第二に男女平等の箇所だったとのこと。日本政府は、男女平等は日本の文化に合わない、と主張したそうです。
ゴードンさんはユーモアを交え、いかにも楽しそうに発言し「もし憲法を改正するのであれば、女性の声を充分に聞いてほしい」と結びました。当時22歳だった、この一人の女性の努力で、この半世紀、私たち日本の女性はどれだけ憲法の恩恵を受けてきたかわかりません。

「女性に対する暴力防止法」作業部会がスタート(4月26日)
一方で、憲法に保障された「個人の尊厳と両性の本質的平等」という理念を実際の生活の中で真に豊かなものにできず、逆行すらしている現状があり、心痛みます。
「足蹴にされて腰の骨にひびが入りましたが、その後遺症で苦しんでいます」「3日に2回の割合で14年間殴る蹴るの暴力を受けた」「私は主人に虐待されるために結婚したようなものです」・・・夫からの暴力を受けている女性たちは、「所有物」「従属物」「奴隷」「しもべ」「男性の便利道具」という言葉で自分を表現します。(「ドメスティック・バイオレンス」夫からの暴力調査研究会)
最近行われた総理府の調査によると、夫から生命の危険を感じるほどの暴行を受けた女性が20人に1人、嫌がっているのに性的な行為を強要された経験がある女性が15人に1人と、女性に対する暴力が深刻であることが明らかになりました。
アメリカには「女性に対する暴力防止法」があり、通報があれば警官が駆けつけ、被害者を保護しますが、日本の場合は「夫婦喧嘩だったんですか」で片づけられることが圧倒的に多いとか。しかも日本では、夫の暴力から逃げ出した女性を保護する公的なシェルターも完備していません。私が所属する「共生社会に関する調査会」では、立法に向けての作業部会が立ち上げられ、私もメンバーの一人になりました。

国民福祉委員会 助産婦さんの話を聞いて(4月27日)
助産婦に医薬品の販売を認める「母体保護法」の改正法案の審議が行われ、大勢の助産婦さんが傍聴にみえました。この時も、実に暗い話を聞きました。助産婦さんたちは思春期相談を行っていますが、かかってくる電話の8割は男の子からだそうです。
あるお母さんは「お風呂に入っていると、中学生の息子が入ってきて私を求めます。従わないと殴る蹴るという暴力を振るうので、しかたなく受け入れています」とおびえた声で電話をしてきました。助産婦さんによると、社会のひずみがもっとも露骨に表れているのが性に関する問題で、最近は男性として精神的に成熟していない若者が増えているのだそうです。話を聞いて、何とも暗い気持ちになりました。