初めての国連総会演説 |
2000年6月12日 |
皆さま 堂本暁子です。 6月11日の夕方にニューヨークから帰国、12日は会館事務所でたまった事務仕事をやっつけて新幹線に飛び乗り、一路会津若松へ。13日は総選挙の公示日、無所属の会の候補の選挙事務所開きに駆けつけました。 昨日、ニューヨークから帰国しました。国連総会が開かれる本会議場の壇上というのは、各国の大統領などが声明を発表する場としてテレビなどで見慣れてきた景色です。しかし自分の生涯のうちにそこに立つことになるとは、夢にも思っていませんでした。日本を発つ前から、私が副会長を務めるIUCN(世界自然保護連合)を代表して演説をすることは引き受けていたのですが、壇上でスピーチをすることを知ったのは4日、ニューヨークに到着してからです。しかし今さらひっこむわけにもいかず、度胸を決めて大役を果たすことにしました。 演説当日の9日、本会議場の裏に向かい、待機している儀典係に導かれて壇上へ。「次の発言者はIUCN代表の堂本暁子さんです」と議長が紹介。日本の国会議事堂に比べると国連の議長席はとても高い位置にあり、議長を務めるナミビア代表の顔はよく見えませんでした。「議長、そして尊敬する各国代表の皆さま」と原稿を読み始めると、後はゆっくりと最後まで演説原稿を読みました。私の演説の主旨は、「社会における男女の共同参画がない限り、地球環境を保全することはできない」というものです。与えられた時間は7分だったのですが、同行したスタッフのローラによると、実際には9分かかったとのこと。IUCNが国連で国家と同じように参加できるオブザーバー資格を昨年12月に取得して以来、IUCNにとっても初めての国連総会演説でしたが、私にとってもおそらく生涯忘れることのできない9分間になりました。 会議の様子はすでに新聞などでご覧になった方も多いかと思いますが、同性、非婚のカップルを「家族」と定義するかなどをめぐって利害が対立、大きな進展はなかったといわざるを得ません。また、5年前の北京女性会議と比べて、国際外交の表舞台であるニューヨークが会場になったことで、プロの外交官たちが大いに活躍することになりました。アメリカとキューバの間や、EUとイラクの間の政治的な裏交渉が行われるなど、国際政治の交渉の道具に女性問題が使われてしまった面があり、そのことは大変残念でした。 しかし「女性に対する暴力」の問題を家庭内暴力に限らず広く捉え、各国に具体的に法制化で対応するよう求める文言が「成果文書」に書き込まれたことは画期的なことです。特に現在、参議院の「共生社会に関する調査会」で女性に対する暴力防止に向けた立法のための作業部会をスタートさせた矢先でもあり、国際的な動きが、国内法制の整備促進に大きな影響を与えることは間違いありません。 |