皆さま 堂本暁子です。
赤坂の夜、椿姫に思うこと
日本で最初のオペラハウス、赤坂ローヤル館が赤坂の弁慶橋近くにあったのをご存じでしょうか。それにちなんで11日に、地元商店街の方など住民の企画・参加で「赤坂今昔物語」というイベントが催され、TBSのアクトシアターでオペラ「椿姫」のハイライトが上演されました。その前座として私は「オペラ『椿姫』と赤坂」というショートトークをしました。
19世紀の半ばに作られた「椿姫」は伝統と決別し、娼婦を主人公とし、現実の生活を舞台に乗せた、まさに人間解放の先駆となったオペラです。その作曲者ヴェルディは、ナポレオン支配によってめざめた自由主義・国民主義の息吹の中で、イタリア統一運動に参加、ついには1861年国会議員となり独立への一票を投じました。19世紀の後半、欧州では政治と文化と生活とが一体化していたのです。
それに引き替え、今の日本では政治が現実の生活とあまりにもかけ離れているのではないでしょうか。その時代の文化の胎動が息づく政治が行われてこそ、はじめて新しい世紀の扉を開くことができるのだと、つくづく思いました。