堂本あき子なの花日記 No.69
ドイツを旅して見たこと、感じたこと
2006年6月9日

皆さま 堂本暁子です。

今回、初めてユーロを使いました。非常に感動したことは、第二次世界大戦を戦ったあとで、ドイツがフランスと共同の教科書を作り、そして、EUが統合する中で、各国と連携してユーロという統一通貨を実現させたということです。

それから、もうひとつ感動したことは、様々な政策の基本に、環境の視点を設けていること。日本の場合は、「環境」と「産業」は対立構造で語られることが多いのですが、ドイツの場合は、環境・経済・社会を統合する形で数値目標を作るなどして、長期的な計画を立てるという方法が、自治体や研究機関などで採用されているのです。

たとえば、デュッセルドルフ、フライブルク、フランクフルトと、訪れたどこの町でも路面電車が走り、また大きな町では地下鉄とも連携して、可能な限り街の中心部への自動車の乗り入れを減らしています。このため、千葉にいるときは、私の万歩計は1日平均3千歩から4千歩でしたが、ドイツにいるときには、必ず日に1万歩以上で、一番多いときは1万6千歩にもなりました。

また、歴史を大事にしていることにも注目しました。日本以上に空襲で街が破壊されたのに、16世紀、17世紀という古い町の姿を、徐々に時間をかけて復興させています。たとえば、フライブルクの市庁舎。新庁舎は16世紀中頃に建てられたもので、旧庁舎の方も、当初14世紀末から使われていたものが戦火に遭い、20世紀半ばに再建されたのだそうです。しかし、調度から階段まで、可能な限り古さを残している一方で、いったんトイレに入ってみると超モダンで、衛生的な設備だったということに感心しました。

私は、今までは会議出席のためのドイツ訪問が多かったのですが、今回は人口約60万人のデュッセルドルフ、人口約20万人のフライブルク、人口約5万人のバーデンバーデン、人口約4,000人のバーデンヴァイラーと、それぞれの自治体の首長や幹部に会って、まちづくりの施策立案、そして実践について聴き、さらには、それぞれの市や町を視察するチャンスを得ました。

デュッセルドルフは国際企業の立地に照準を合わせていて、日本企業は、ヨーロッパでの拠点として550社以上が立地しており、第2位のロンドンの約300社を圧倒しています。現在デュッセルドルフ市は、中国・ロシアの企業誘致に力を入れていて、エルヴィン市長は、私たちが訪問する直前にも中国へ行っていたとのことでした。

フライブルクとハイデルベルクは大学中心の町、バーデンバーデンとバーデンヴァイラーは観光と温泉そして景観……と、それぞれ個性があって、大変興味深いものでした。

それから、フランクフルト、バーデンバーデン、ハイデルベルクとも女性市長。バーデンバーデンのあるバーデン・ヴェルテンベルク州内だけでも、30名くらいの女性市町村長がいるとのことです。
自治体の長として女性が活躍しており、さすが、女性のメルケル首相を誕生させた国ならではの数だと思いました。