堂本あき子なの花日記 No.95
「バードカービング」をご存じですか?
2007年10月9日

皆さま 堂本暁子です。

バードカービングとは、野鳥の精密な彫刻のことです。そのルーツは、鳥をおびき寄せるための囮=おとり=として、アメリカで使われていた「デコイ」。それが精密で美しい芸術品に発達し、インテリアなどとしても使われるようになったものを「バードカービング」と呼びます。現在では、鳥を殺してはく製にするかわりに、バードカービングの作品を博物館などに展示したり、鳥の保護のために役立てるために使われるようになっています。

さて、11月10日(土)・11日(日)、「人と鳥の共存をめざして」をテーマに、国内最大規模の鳥の祭典、「ジャパンバードフェスティバル2007」が、我孫子市各地で開催されます。そのプレイベント「触(さわ)る世界」が10月6日、我孫子市生涯学習センター「アビスタ」で開かれ、私も参加してきました。

「触る世界」では、目の不自由な方もそうでない方も、バードカービングに触って鳥の姿を知る、あるいは、いろいろな木の枝の匂いから木の名前を知る、鳥の声から鳥の種類を知る、触ったり聞いたり嗅いだりする展示会が開かれました。

バードカービングを作っている内山春雄さんは、「日本バードカービング協会」の会長で、日本におけるバードカービングの第一人者です。我孫子市に住んでおられ、昨年度は「現代の名工」にも選ばれています。

内山さんは、もともとは伝統工芸の木象嵌(もくぞうがん)を作っていらしたのですが、その技術を使った、鳥をテーマにした木象嵌の額を得意とされていました。

ところが、鳥の絵がなかなか描けず、山科鳥類研究所へ鳥について学びに行ったのがきっかけで、1980年頃からバードカービングを始めたそうです。そして、山科鳥類研究所が渋谷から我孫子市に引っ越したので、内山さんも一緒に我孫子に引っ越してきたということです。

内山さんがデパートでバードカービングの実演をなさっていたとき、目の不自由な方から「バードカービングをさわらせてほしい」という依頼を受けたことをヒントにして考え出されたのが、「タッチカービング」というものです。

「タッチカービング」は、鳥の鳴き声と解説の録音されたテープ・カラーイラストとバードカービングを、一つの箱にセットしたものです。目の不自由な方が鳴き声や解説を聞き、バードカービングにさわることで、鳥のイメージを把握することができるよう、工夫がなされています。この「タッチカービング」を使って、目の不自由な方にも鳥を知って欲しいと、内山さんが我孫子市に、今回の「触る世界」の企画を提案し、この展示会が実現したというわけです。

私も、大好きなカワセミをはじめ、バードカービングの鳥たちを触りまくって、鳥たちの大きさや体の形を、ナマで感じてきました。

今回のイベントで気がつきました。今の博物館は、展示物をガラスで仕切っているので、視覚障害者には全く「役立たず」です。博物館を、さまざまな障害をもった人にも役立つようにすることが、新しい夢になりました。

ジャパンバードフェスティバルのホームページ
内山春雄さんのホームページ