堂本あき子なの花日記 No.142
ノルウェーのブルントラント元首相とご一緒しました
2010年10月16日

皆さま 堂本暁子です。

世界の女性指導者の中で、「心から尊敬できる!」と思える方は、そう多くはありませんが、その中のひとりが、ノルウェーのブルントラント元首相です。心の底から尊敬しています。

グロ・ハーレム・ブルントラント氏は1975年、35歳で環境大臣に抜擢され、1981年、41歳のとき、ノルウェーで最年少、かつ、初の女性首相となり、以降、3期・10年以上、首相を務められました。

1983〜87年、国連・「環境と開発に関する世界委員会」の委員長となり、報告書『地球の未来を守るために』において「持続可能な開発」の概念を提起し、1992年にリオで開催された「地球サミット」を実現しました。

1998〜03年には、WHO(世界保健機構)初の女性事務局長に就任、途上国の貧困の視点から、マラリア・結核などの疾病の撲滅に取り組まれました。

10月12日、赤坂プリンスホテルで日本看護協会などが主催した【「女性=健康」ー健やかな日本の今日と明日のためにー】というシンポジウムで、私は、そのブルントラントさんとご一緒させていただきました。相変わらずバイタリティいっぱい。懐かしさがいっぱいに広がり、旧交を温めました。

ブルントラントさんは「ライフスタイルと女性のリーダーシップ」という基調講演の中で、女性が意思決定のポジションにつくことが、どんなに大切であるかを力説されました。私にとっての彼女は、すでに男女の域を超えた、世界政治のリーダーに思えるのですが、今回は日本の男女共同参画に照準を合わせてのおはなしでした。

日本では、政治・経済・大学・公務員・医学などの領域で、意思決定の場に女性があまりにも少ないことを知って、総理大臣としてジェンダー主流化を進めてこられたブルントラント元首相は驚きを禁じ得ない様子でした。

壇上で彼女はさっと日本語の著書を出し、サインをして私にくださったのですが、その本には、次のように書いておられます。

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「初の女性首相、初の女性事務局長であったために、はじめのころの私の仕事の進め方は、どちらかといえば男性的であったといえます。しかし、仕事の経験を積み上げるにつれて、女性としての視点も示したいと願うようになりました。ただし、これまでのあり方を全面的に変えようとしているのではありません。
国の政治を動かしたり、世界の保健を考えるときには、必ず基礎となる事実や数字があり、これは性別には全く関係ありません。しかし、何に疑問をもつか、何を評価するかといったものは、性別によってしばしば異なることは確かです。私は、仕事の中に、こうした女性としての視点、いわば「ソフト」な方向も持ち込みたいと考えました」

(『世界で仕事をするということ』PHP研究所・2004年刊)